理不尽な暴力
いきものがかりがお世話をし、夏休みは担任が家に持って帰り、そのあと突然死んだ。
クラスで飼っていたハムスターが死んだ。
いきなり1年A組にやってきたそのハムスターは、
いきものがかりがお世話をし、夏休みは担任が家に持って帰り、
そのあと突然死んだ。
私はハムスターと一切の接点もなかったので、正直なんとも思わなかった。
道端に咲いていた花が今日になって枯れた、と同じくらいの出来事だった。
クラスメイト全員がハムスターの死に号泣し、担任も授業を2コマくらい潰して号泣した。
私はひとり泣いていなかったので、その担任に教科書でぶたれた。
ぶたれて痛くて泣いた。
涙を流さなかったら教科書でぶたれたことに、心底納得がいかなかった。
強制された悲しみは意味をもたないだろと思った。
理不尽な暴力にめちゃくちゃ腹が立った。
でも相手は大人で、自分より体が何倍も大きい。
何もできない。
無力で小さい自分にまた苛立って絶対このことは忘れないと誓った。
(そしていまこうして文章にしている。)
後日、ハムスターの手作りお葬式が行われ、私を除くクラス全員がハムスターの棺に入れる手紙やらプレゼントをそれぞれ、家から持ってきた。
完全に忘れていた私は何も用意してなかったので、また教科書で殴られた。
この時期、担任がクラスの学級目標に「スクラム」を掲げていた。
色紙を切り抜いたカラフルな「スクラム」という文字と、
生徒それぞれが描いた似顔絵が、教室の後ろの壁に常に掲載されていた。
担任は、『みんな一緒にいつも仲良く』とかなんとか言っていた気がするけれど、
スクラムの言葉だけは、今後の人生において絶対掲げないぞと心に決めた。
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