大人になったら友達ができなくなった

友達が欲しい。大人になってから特に強く願うようになった。学生の頃は、高校や専門、大学という箱が用意されているので、そのなかで気の合う友人を見つけるのはそんなに難しくなかった。
𠮷澤ハナ 2025.07.27
誰でも

友達が欲しい。大人になってから特に強く願うようになった。

学生の頃は、高校や専門、大学という箱が用意されているので、そのなかで気の合う友人を見つけるのはそんなに難しくなかった。それが30歳を過ぎたあたりから、努力しないと友達ができない。それ以前に友達候補にすら出会えない。

もちろん仕事では多くの人に日々出会う。

ただ、ビジネスフィールドで出会った同士が仕事の闘争モードをおろし、たったいままで打ち合わせていた内容を忘れ、「ちいかわの推しはどれか」なんて話をすることはかなりむずかしい。

きっと、ちいかわは何故あんなに売れるのか?といつのまにかマーケティングの話になる。

絶対。

どこに行けばくだらないことをシェアできる友達に出会えるんだ?と、
本気でマッチングアプリを使おうかと思った時期もあった。

本来のアプリのコンセプトから多いにズレていることはわかっていたので、
思うだけでやめといた。 


そんな自分だったけれど最近友達ができた。

そこそこ近い距離に住んでいて、なんにも役に立たない会話だけで時間が溶けていく。
役には立たないけれど、楽しい時間。

一緒にご飯食べて、お酒を飲んで、明日には忘れているような話をして、
そして終電も忘れてアイスクリームを食べた。

取るに足らない、なんてことない普通の夜だけど、
こんな夜を幸福と呼ぶんじゃないかなと本気でそう思った。

明日になったら、またそれぞれの生活を積み重ねていく。
私も執筆の続きをすると思う。

隙間のページに、昨日の幸福を、栞のように挟んでおこうと思った。
もしなにか言葉に迷ったときは、あの夜の記憶をすぐ開けるように。


無料で「記録<KIROKU>」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
タイムマシンがあったなら
誰でも
傷未満、ため息以上みたいな折り合いのつかない感情が。
誰でも
人は寂しいと植物を買う
誰でも
理不尽な暴力
誰でも
無自覚な特権
誰でも
言葉を飲み込む